補聴器外来とは

加齢や病気により聴力が低下した方にとって、補聴器は日常生活の質を高める重要なツールです。
当院の補聴器外来では、日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会 専門医・指導医である院長が、医学的な評価に基づいた補聴器の処方を行っています。
聴こえの悩みに対して、正確な診断と適切な機種の選定、装用後の調整、アフターケアまで、患者様一人ひとりに寄り添ったサポートを行っております。

補聴器とは

補聴器は、聴力の低下によって生じる「会話が聞き取りにくい」「テレビの音を大きくしてしまう」といった日常の不便を軽減するための医療機器です。
補聴器を使うことで、周囲の音や会話が明瞭になり、社会とのつながりや生活の楽しみを取り戻すことができます。
また加齢による難聴のほか、突発性難聴や慢性中耳炎の後遺症などによる感音性難聴にも補聴器が有効なケースがあります。

補聴器は管理医療器であり、一人ひとりの聴力に合わせた調整が不可欠です。
耳鼻咽喉科での診察と正確な聴力検査を経て、最適な機器を選ぶことが大切です。

以下のような症状がみられる場合は、補聴器の使用を検討するタイミングかもしれません。
当院の補聴器外来へお気軽にご相談ください。

補聴器の種類と適応

  • 聞き返すことが多くなった
  • 会話の内容が聞き取りづらく、曖昧に相槌を打ってしまう
  • テレビや電話の音量を以前より大きくしている
  • 家族や周囲から「耳が遠くなった」と言われる
  • 人が多い場所での会話が聞き取りにくい
  • 聞こえないことへの不安や孤立感を感じる

など

補聴器の種類と適応

補聴器にはさまざまなタイプがあり、聴力の程度や手先の器用さ、ライフスタイルやご希望に応じて選択します。
当院では、それぞれのタイプの特徴を丁寧に説明し、適切な機種を一緒に検討いたします。

耳穴型(CIC・ITEなど)

耳の穴に収める小型タイプで、目立ちにくいのが特徴です。音の方向感が自然に近く、軽度〜中等度の難聴に適しています。
ただし耳の形に合わせて作製するため、耳垢が多い方や耳の炎症を繰り返す方には不向きです。

メリット
目立たず、マスク・眼鏡の邪魔になりにくい
デメリット
操作や電池交換がやや難しい、耳垢が多い方には不向き
耳掛け型(BTE・RICなど)

耳にかけて使用するタイプで、幅広い聴力に対応可能です。
操作がしやすく、電池交換や充電式タイプもあります。
やや目立ちやすい点がありますが、装用感が安定しているため多くの方に選ばれています。

メリット
電池寿命が長く、調整の幅も広い
デメリット
外から見えることがある、眼鏡との干渉に注意が必要
ポケット型

本体をポケットに入れ、イヤホンで耳につなぐタイプです。
操作が簡単で高齢の方でも扱いやすいですが、外観がやや大きく、持ち運びに工夫が必要です。

メリット
大きなボタンで操作しやすい、電池交換が容易
デメリット
本体をポケットに入れる必要があり、外出時は不便に感じることも
メガネ型(骨伝導式補聴器)

メガネのつる部分に骨伝導装置を内蔵し、骨を介して音を伝える補聴器です。
外耳道や中耳の障害で通常の補聴器が使いにくい方に適しています。
外観はメガネの形状に依存するため、慣れが必要です。

メリット
耳をふさがないため閉塞感が少ない
デメリット
装用感に慣れが必要、デザインの自由度はやや少ない

補聴器作成までの流れ

補聴器は「ただ装着すれば聞こえるようになる」というものではなく、耳の状態や聴こえ方に応じて慎重な調整が必要です。
当院では、次のようなステップで補聴器の作成・適合を進めていきます。

当院を受診
まずは耳鼻咽喉科専門医による診察を行います。聴こえの状態を詳しく確認し、難聴の原因や程度を診断します。
聴力検査・語音明瞭度検査
音の聞こえ方だけでなく、言葉の聞き取りの程度も測定し、補聴器の適応があるかどうかを確認します。
補聴器の種類選定・試聴
必要に応じて補聴器販売店と連携し、実際に補聴器を試していただきながら、生活に合うタイプを選びます。
補聴器のフィッティング(調整)
個人の聴力に合わせて細かく調整を行い、最適な音質に仕上げます。
装用後のフォローアップ
実際の使用状況に応じて再調整を行い、長く快適に使用できるようサポートいたします。

補聴器の保険適用について

補聴器は原則として保険適用外の自費購入ですが、以下の場合には医師の診断書や条件に基づき公的な補助を受けられることがあります。

  • 身体障害者手帳をお持ちの方:一定以上の聴力低下が認定された場合、補装具費支給制度の対象になります。
  • 自治体による補助:市区町村によっては、高齢者を対象とした補助制度があります。
    江東区につきましては、以下をご参照ください。
    高齢者補聴器の現物支給及び購入費助成|江東区
  • 医療費控除:補聴器の購入費は条件によっては医療費控除の対象となります。

補聴器の価格は種類や性能により異なりますが、一般的には片耳5万円~30万円程度が目安となります。
ご不明な点があればお気軽にご相談ください。