重症花粉症治療
(ゾレア)とは

毎年の花粉症で、
「薬を飲んでも全く楽にならない」
「生活に支障が出るほどの症状が続く」
とお悩みの方はいらっしゃいませんか?
そうした重症の花粉症に対して効果が期待されるのが、「ゾレア(一般名:オマリズマブ)」という注射による治療法です。

ゾレアは、もともと気管支喘息の治療薬として使用されてきた抗体医薬品で、現在はスギ花粉症を中心とした重症アレルギー性鼻炎にも保険適用されています。
鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみといったつらい症状の改善が見込め、日常生活の質(QOL)を大きく向上させる治療法です。

ゾレアは、以下のような方が対象となる治療法です

  • くしゃみや鼻水、鼻づまり(鼻閉)など花粉症の症状が重く、日常生活や仕事・学業に支障がある方
  • 抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬など、従来の治療では効果が不十分な方
  • 鼻閉が特に強く、夜間の睡眠に支障をきたしている方
  • スギ花粉によるアレルギー反応が、血液検査で陽性と確認されている方
  • 他の疾患との兼ね合いで、強力な症状緩和が必要な方

など

  • ゾレアの適応には、12歳以上で、かつ血液検査の数値(血清中総IgE濃度)と体重に基づいた一定の条件があります。当院では適応を満たすかどうか、丁寧に検査・評価を行います。

ゾレアによる治療の
期待できる効果

ゾレアは、従来の飲み薬や点鼻薬で改善が見られなかった重症の花粉症症状を、大幅に軽減する効果が期待できます。

特に以下のような効果が報告されています

  • 鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみの改善
  • 睡眠障害の改善、日中の集中力・活動性の向上
  • 他のアレルギー性鼻炎治療薬の減量・中止
  • 発症ピーク時期のQOL維持

など

治療の効果は、注射開始後1週間~2週間ほどで現れることが多く、花粉飛散シーズン中のつらい時期を快適に乗り越えられる可能性が高まります。

ゾレアによる治療で
効果が現れる仕組み

ゾレアは「抗IgE抗体製剤」と呼ばれる生物学的製剤です。
花粉症の原因物質であるスギ花粉が体内に入ると、IgE抗体という物質が肥満細胞と呼ばれる細胞に結合し、そこからヒスタミンなどの炎症物質が放出されることで、くしゃみや鼻水といった症状が引き起こされます。

ゾレアは、このIgE抗体と結びついてその働きをブロックすることで、花粉によるアレルギー反応の発生を根本から抑えます。
いわば、「アレルギーの引き金」を抑える治療法であり、従来の対症療法(抗ヒスタミン薬など)とは異なるメカニズムによって高い効果が期待できるものです。

ゾレアによる治療の流れ

当院では、以下のような流れでゾレア治療を行っています。

初診・症状評価
花粉症の症状や治療歴について丁寧に問診します。
抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬など、従来の治療では効果が不十分であること確認します。
アレルギー検査・血液検査
スギ花粉に対するIgE抗体の有無や、血中IgE濃度、体重などを確認し、ゾレアの適応を評価します。
治療スケジュールの決定
検査結果をもとに、投与量や注射間隔(通常は2~4週ごと)を決定します。
ゾレアの注射開始
皮下注射を院内で行います。所要時間は15分程度ですが、初回はアレルギー反応の確認のため30分程度院内で経過観察を行います。
経過観察・効果判定
症状の変化を確認しながら、必要に応じて注射の継続・調整を行います。
  • ゾレアの治療は、花粉シーズン前からの早めの導入がより効果的とされています。ご希望の方はお早めにご相談ください。

ゾレアによる治療の注意点
(治療時の痛み、副作用など)

注射時の痛みは比較的軽度で、一般的な皮下注射と大きな違いはありません。
主な副作用としては、注射部位の腫れやかゆみ、頭痛、倦怠感、めまいなどがあります。
まれに重篤な副作用としてアナフィラキシー反応(重いアレルギー反応)が起こる可能性があるため、初回投与時には院内でしっかり経過を観察します。
妊娠中・授乳中の方、他のアレルギー疾患の治療を受けている方は、あらかじめ医師にご相談ください。

当院では、重症花粉症でお悩みの方が、春を快適に過ごせるよう、ゾレア治療を含めた多角的なアレルギー治療をご提案しています。
ご自身が対象になるかどうか、まずはお気軽にご相談ください。早めの対応が、つらい季節を乗り越える鍵になります。